前回、グリコーゲンローディングのことが出てきたので、今回はこれを。
運動すると、糖質や脂質を用いてエネルギーが作られ消費されるということは、これまでお話してきたとおりです。
グリコーゲンローディングは、そのエネルギー源の中でも消費されやすい糖質を、レース前に十分に貯蔵しておくことにより、パフォーマンスを発揮しやくするための食事の方法とされています。
グリコーゲンローディングの基本的なやり方としては、レース1週間前の最初の3日間は糖質を少なめにし、高タンパク質・高脂質の食事をし、そして3日前から糖質中心の食事をとることにより、よりグリコーゲンを貯蔵することができることがわかっています。
しかし、近年ではその方法では、身体に負担が大きいことや、調子を崩すことも多いことから、身体にやさしく自然に行えることができる改良法として数日前までは普通に食事をとり、レース前に糖質を多くとる方法が適切であるとされています。スポーツ選手として毎日摂取すべき量として体重1kgあたり7~10gの糖質が必要とされています。すなわち、体重70kgの選手の場合は、490~700gの糖質、丼ご飯に関さんすると約4~6杯(スパゲッティだと10皿分)必要となります。
また、2003年に国際オリンピック委員会は以下の提言を行っています。
「運動前の栄養摂取では、糖質貯蔵量を増やし糖質の枯渇で運動能力が低下しないようにすることを目指す。運動前の数日間、糖質摂取量を増やし筋肉内グリコーゲン量を増大させると、持久的な運動、特に90分以上継続する運動においてパフォーマンスを向上させる。運動の3~4時間前の糖質補給は肝臓と筋肉内のグリコーゲン貯蔵を増やし持久的運動のパフォーマンスを向上させる。糖質摂取のエネルギー代謝に対する影響は少なくとも接種後6時間は存在する。」
IOC Consensus Statement on Sports Nutrition 2003(スポーツ栄養に関するIOCの合意声明2003)
このようにレース前においてグリコーゲンローディングを行うことが推奨されています。
さて、これまでグリコーゲンローディングについて述べてきましたが、確かに理論的にはあっています。
しかし、そのままうのみにするのではなく、大事なことはどこで考えられたのかということと私たちが行う種目との絡み合わせも考える必要があります。
まず、もともとグリコーゲンローディングは西欧での研究を発祥としています。
西欧の食生活では糖質が少ない、つまりエネルギー源が摂取することが少ないためフルマラソンを走りきるためにはグリコーゲンが不足している。そのため、グリコーゲンをためてフルマラソンを走れるようにしようということから研究されました。
しかし、日本ではお米など糖質中心の食生活を行っています。日本が糖質100%だとすると、西洋では60%~70%としかとらないとされていることから深く考えずにグリコーゲンローディングを行っても、エネルギー摂取量が過剰になってしまい体重が増加してしまうことにもなります。つまり、もともとの発祥から考えると、日本人は毎日グリコーゲンローディングを行っているようなものだともいえるため、単純にレース前にグリコーゲンローディングを行っても意味ないとも考えらえます。
さらに、ヒトの一日のエネルギー消費量は一般的に2500程度です。
(注:競技者はレベルによってその分高くなります、以下は一般人を対象にした話となることに注意)。
基礎代謝が1800程度であるとすると、700も余分にあり、その700は、普段生活しているときの身体活動で消費される。また、陸上競技でどれくらいの強度、運動でやるとエネルギー消費量が増加するのかというと同じ強度であれば強度よりも走った距離(時間も関係)によって、エネルギー消費量が増加していきます。また強度でいえば、低強度よりも高強度のほうが消費しますが、その分長く走れなくなるため結局はエネルギー消費量はあまり変わらないということにも注意。このことからも、トラック競技程度であれば、エネルギーを消費しきるということはありません。マラソンでよく聞かれているように一般的にグリコーゲンが枯渇し始めるのは、30km前後です。また、国際オリンピック委員会の提言を見ても、持久的な運動を90分以上の場合とも述べられています。トラック競技において最も長くても10000mの40分程度でしょう。このことから、グリコーゲンローディングを行う必要はないともいえます。
トラック競技におけるデメリットはまだあります。糖質を摂取すると身体は水分を蓄えようとする性質もあるため、グリコーゲンローディングが成功したとしても体重が増加してしまい、エネルギー消費量が増加してしまうことから競技中にパフォーマンスが低下することも考えられます。
以上のことからトラック競技をやる方にとっては、とくにこの辺を注意しておく必要があるのです。
もしトラックではなく、フルマラソンやるよっていう場合、グリコーゲンローディングを行うのは難しいです。なので、前日に糖質が含まれているのを多めに食べるか、当日に競技の数時間前に消化の良いものを多めに食べるくらいがちょうどよいと思われます。
一方で、大学生にとって、もうひとつの重要な点があります。
実家通いの方よりも、一人暮らしの方におけるグリコーゲンローディングについて知識を誤ると、大変なことにもなります。
とくに一人暮らしの方は経済的な面や、手間が面倒のため栄養が偏りがちになる人も多いです。そのため、体調管理に必要な栄養素が不足している中でグリコーゲンローディングを行ってもベストパフォーマンスは期待しにくいでしょう。一番、わかりやすい例としては鉄分欠乏による貧血とかでしょうね。
このことからも、まずは普段の栄養管理をきっちり行うことが必要であり、それができればトラック競技ならそれだけでも十分でしょう。
その上で、グリコーゲンローディングを行うならば少なくともハーフ以上の距離を走る場合に行うと良いと思われます。
もし、トラック競技で行いたいというのであれば、げんかつぎ程度に考えて、前日や朝にちょっと多めにとる程度で行うほうが賢明でしょう。
運動すると、糖質や脂質を用いてエネルギーが作られ消費されるということは、これまでお話してきたとおりです。
グリコーゲンローディングは、そのエネルギー源の中でも消費されやすい糖質を、レース前に十分に貯蔵しておくことにより、パフォーマンスを発揮しやくするための食事の方法とされています。
グリコーゲンローディングの基本的なやり方としては、レース1週間前の最初の3日間は糖質を少なめにし、高タンパク質・高脂質の食事をし、そして3日前から糖質中心の食事をとることにより、よりグリコーゲンを貯蔵することができることがわかっています。
しかし、近年ではその方法では、身体に負担が大きいことや、調子を崩すことも多いことから、身体にやさしく自然に行えることができる改良法として数日前までは普通に食事をとり、レース前に糖質を多くとる方法が適切であるとされています。スポーツ選手として毎日摂取すべき量として体重1kgあたり7~10gの糖質が必要とされています。すなわち、体重70kgの選手の場合は、490~700gの糖質、丼ご飯に関さんすると約4~6杯(スパゲッティだと10皿分)必要となります。
また、2003年に国際オリンピック委員会は以下の提言を行っています。
「運動前の栄養摂取では、糖質貯蔵量を増やし糖質の枯渇で運動能力が低下しないようにすることを目指す。運動前の数日間、糖質摂取量を増やし筋肉内グリコーゲン量を増大させると、持久的な運動、特に90分以上継続する運動においてパフォーマンスを向上させる。運動の3~4時間前の糖質補給は肝臓と筋肉内のグリコーゲン貯蔵を増やし持久的運動のパフォーマンスを向上させる。糖質摂取のエネルギー代謝に対する影響は少なくとも接種後6時間は存在する。」
IOC Consensus Statement on Sports Nutrition 2003(スポーツ栄養に関するIOCの合意声明2003)
このようにレース前においてグリコーゲンローディングを行うことが推奨されています。
さて、これまでグリコーゲンローディングについて述べてきましたが、確かに理論的にはあっています。
しかし、そのままうのみにするのではなく、大事なことはどこで考えられたのかということと私たちが行う種目との絡み合わせも考える必要があります。
まず、もともとグリコーゲンローディングは西欧での研究を発祥としています。
西欧の食生活では糖質が少ない、つまりエネルギー源が摂取することが少ないためフルマラソンを走りきるためにはグリコーゲンが不足している。そのため、グリコーゲンをためてフルマラソンを走れるようにしようということから研究されました。
しかし、日本ではお米など糖質中心の食生活を行っています。日本が糖質100%だとすると、西洋では60%~70%としかとらないとされていることから深く考えずにグリコーゲンローディングを行っても、エネルギー摂取量が過剰になってしまい体重が増加してしまうことにもなります。つまり、もともとの発祥から考えると、日本人は毎日グリコーゲンローディングを行っているようなものだともいえるため、単純にレース前にグリコーゲンローディングを行っても意味ないとも考えらえます。
さらに、ヒトの一日のエネルギー消費量は一般的に2500程度です。
(注:競技者はレベルによってその分高くなります、以下は一般人を対象にした話となることに注意)。
基礎代謝が1800程度であるとすると、700も余分にあり、その700は、普段生活しているときの身体活動で消費される。また、陸上競技でどれくらいの強度、運動でやるとエネルギー消費量が増加するのかというと同じ強度であれば強度よりも走った距離(時間も関係)によって、エネルギー消費量が増加していきます。また強度でいえば、低強度よりも高強度のほうが消費しますが、その分長く走れなくなるため結局はエネルギー消費量はあまり変わらないということにも注意。このことからも、トラック競技程度であれば、エネルギーを消費しきるということはありません。マラソンでよく聞かれているように一般的にグリコーゲンが枯渇し始めるのは、30km前後です。また、国際オリンピック委員会の提言を見ても、持久的な運動を90分以上の場合とも述べられています。トラック競技において最も長くても10000mの40分程度でしょう。このことから、グリコーゲンローディングを行う必要はないともいえます。
トラック競技におけるデメリットはまだあります。糖質を摂取すると身体は水分を蓄えようとする性質もあるため、グリコーゲンローディングが成功したとしても体重が増加してしまい、エネルギー消費量が増加してしまうことから競技中にパフォーマンスが低下することも考えられます。
以上のことからトラック競技をやる方にとっては、とくにこの辺を注意しておく必要があるのです。
もしトラックではなく、フルマラソンやるよっていう場合、グリコーゲンローディングを行うのは難しいです。なので、前日に糖質が含まれているのを多めに食べるか、当日に競技の数時間前に消化の良いものを多めに食べるくらいがちょうどよいと思われます。
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実家通いの方よりも、一人暮らしの方におけるグリコーゲンローディングについて知識を誤ると、大変なことにもなります。
とくに一人暮らしの方は経済的な面や、手間が面倒のため栄養が偏りがちになる人も多いです。そのため、体調管理に必要な栄養素が不足している中でグリコーゲンローディングを行ってもベストパフォーマンスは期待しにくいでしょう。一番、わかりやすい例としては鉄分欠乏による貧血とかでしょうね。
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陸上歴10年目のものがこれまでの経験、知識に加えて学会などの情報をまとめたものを陸上理論としてメモしておくブログです。
この世には常識とされていたものは非常識、また非常識とされていたものは常識となっています。それも含めいろいろ考察していくつもり
陸上生活に関する日記はリンクにあります。
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