今回は実際に乳酸をトレーニング時どのように扱うのかを考えていきます。
その前提としてまず、筋肉とエネルギーについて
以前、筋肉には基本的に速筋繊維と遅筋繊維があると説明したと思いますが、一応復習
一般的に
速筋はミトコンドリアが少ないが、発揮する力は大きいため瞬発的に優れている。
またTypeⅡともよばれています。そして速筋繊維を細かく分類するとTypeⅡbとTypeⅡaに分けられています。TypeⅡbは純粋な速筋繊維の能力ですが、TypeⅡaは持久的トレーニングを行うことで遅筋繊維と同じ性質をもつことができる速筋繊維です。中長距離では、この部分をトレーニングすることが重要です。
この部分についての詳細はまた別に。
一方、遅筋繊維では、ミトコンドリアが多く、発揮する力が小さいが、持久的に優れている。これはTypeⅠともよばれています。
これらの筋肉を使って力を発揮するためにはエネルギーが必要です。このエネルギーはATPであり、このATPを使うことにより筋肉を収縮させたりするのです。
速筋繊維では、ミトコンドリアが少ないため、有酸素系では時間がかかるため、大きな力を出すためにすぐできるATP-CP系や解糖系を主に
遅筋繊維ではミトコンドリアが多いので有酸素系を主に
というイメージをもってもらえればと思います。
さて、本題、どのくらいの運動強度から速筋繊維が使われ、遅筋繊維が使われるのか。
基本的に、私たちは遅筋繊維を使って、生活をしています。
なぜなら、それほど大きな力を使わなくても生活できる場合がほとんどだからです。
しかし、大きな力を発揮しなくてはならなくなった場合、すなわち運動強度が高くなるほど速筋繊維が使われはじめます。
速筋繊維が使われはじめるその指標の一つとして、乳酸があると言われています。
そこで、聞いたことあるかもしれませんが、ある運動強度の度合いを超えると急激に血中乳酸濃度が高くなる点があります。それがLT(乳酸性作業閾値)です。
血中乳酸濃度というのは、簡単に言えば、血液に乳酸がどれだけあるのかということです。
でも、ミトコンドリアが多いと、その乳酸もエネルギーとして使えるようになります。
それでも、その処理が追いつかなくなるときがこのLTあたりだと考えてもらえればと思います。つまり、LTを超えなければ遅筋繊維をメインに動員され、超えはじめると速筋繊維が動員されはじめるのです。一般の人がマラソンをするときには、このLTを超えないようにして走ることが明らかにされています。もし、このLTを超えると糖質が消費されるということだから、ばてやすくなります。
LTを向上させる要因としては、筋肉内にミトコンドリアを増殖させたり、ミトコンドリア内の酸素活性の増大などによりLTを高めることができます。
このLTは、最大酸素摂取量との絡みでもだいぶ研究されてきており、最大酸素摂取量の値でいうと50~70%2VOmax程度の強度であるともいわれています。
また、このLTは、最大酸素摂取量よりもコンディションに左右されにくい。LTは、最大酸素摂取量と比べ、トレーニングによって向上する余地が大きいため、しっかりトレーニングを行うことによりLTの向上は期待できます。
しかし、これ一般人としてはLTでも十分な強度になるのですが、上を目指す競技選手にとって、LTのペースはいいのかというと、そうでもないという話もあります。上にあげた50~70%2VOmaxは一般人という話であり、競技選手では最低でも85%2VOmax程度ともいわれています。
ましてや、トラックにおいては100%2VOmaxとかざら。そうすると、完全にLTは超えてしまう。(一応、誤解のないように言っておきますが、LTと最大酸素摂取量の関係はあくまでも相関関係の範囲内です)
さて、ここでLTを超えた先に、もう1点さらに血中乳酸濃度が急激に高くなる点があります。その点をOBLA(血中乳酸蓄積開始点)といいます。もちろん、LTを超えた点なので、速筋は動員されています。
そして、LTは1mol~3molとか乳酸が蓄積し始める点など現在の研究では定義が残念ながらまだあいまいとなっている一方、OBLAのほうは定義が定まっており、4mol地点であるとされています。(ちなみに有名なジャック・ダニエルズの本での閾値もおそらく、OBLAを指していると思われ)
つまり、トラックをメインにしている人や、さらに上を目指す人は、速筋がしっかり動員されるOBLAを意識したほうが良いともいえます。
感覚的な話で言うと、LTは少し呼吸が乱れるけど、我慢すれば鼻で余裕を持って呼吸出来るくらい。
OBLAは我慢しても口での呼吸を必要とするけど、特にペースダウンはしないくらいです。
次回は、なぜ速筋を使った練習をしたほうが良いのかを説明していきたいと思います。
また、母数が少ないので、一般化にはされないのですが、OBLAのペースについて研究されたものがあるので、参考程度にのせておきます。
5000mのベストタイムをもとに考えたものです。
こんな感じです。
5000m÷ベストタイム=○m/min=100%のスピード
92.5%速度○m ×0.925≒●m/min
60秒÷●m/min×1000=の結果がOBLAのタイム
たとえば16分がベストの人の場合
5000m÷16分=312.5m/min=100%のスピード
92.5%速度312.5m ×0.925≒289m/min
つまり1km3分28秒がOBLAの出現する速度
だいだい5000mのレースペース+15~20秒くらいです。
その前提としてまず、筋肉とエネルギーについて
以前、筋肉には基本的に速筋繊維と遅筋繊維があると説明したと思いますが、一応復習
一般的に
速筋はミトコンドリアが少ないが、発揮する力は大きいため瞬発的に優れている。
またTypeⅡともよばれています。そして速筋繊維を細かく分類するとTypeⅡbとTypeⅡaに分けられています。TypeⅡbは純粋な速筋繊維の能力ですが、TypeⅡaは持久的トレーニングを行うことで遅筋繊維と同じ性質をもつことができる速筋繊維です。中長距離では、この部分をトレーニングすることが重要です。
この部分についての詳細はまた別に。
一方、遅筋繊維では、ミトコンドリアが多く、発揮する力が小さいが、持久的に優れている。これはTypeⅠともよばれています。
これらの筋肉を使って力を発揮するためにはエネルギーが必要です。このエネルギーはATPであり、このATPを使うことにより筋肉を収縮させたりするのです。
速筋繊維では、ミトコンドリアが少ないため、有酸素系では時間がかかるため、大きな力を出すためにすぐできるATP-CP系や解糖系を主に
遅筋繊維ではミトコンドリアが多いので有酸素系を主に
というイメージをもってもらえればと思います。
さて、本題、どのくらいの運動強度から速筋繊維が使われ、遅筋繊維が使われるのか。
基本的に、私たちは遅筋繊維を使って、生活をしています。
なぜなら、それほど大きな力を使わなくても生活できる場合がほとんどだからです。
しかし、大きな力を発揮しなくてはならなくなった場合、すなわち運動強度が高くなるほど速筋繊維が使われはじめます。
速筋繊維が使われはじめるその指標の一つとして、乳酸があると言われています。
そこで、聞いたことあるかもしれませんが、ある運動強度の度合いを超えると急激に血中乳酸濃度が高くなる点があります。それがLT(乳酸性作業閾値)です。
血中乳酸濃度というのは、簡単に言えば、血液に乳酸がどれだけあるのかということです。
でも、ミトコンドリアが多いと、その乳酸もエネルギーとして使えるようになります。
それでも、その処理が追いつかなくなるときがこのLTあたりだと考えてもらえればと思います。つまり、LTを超えなければ遅筋繊維をメインに動員され、超えはじめると速筋繊維が動員されはじめるのです。一般の人がマラソンをするときには、このLTを超えないようにして走ることが明らかにされています。もし、このLTを超えると糖質が消費されるということだから、ばてやすくなります。
LTを向上させる要因としては、筋肉内にミトコンドリアを増殖させたり、ミトコンドリア内の酸素活性の増大などによりLTを高めることができます。
このLTは、最大酸素摂取量との絡みでもだいぶ研究されてきており、最大酸素摂取量の値でいうと50~70%2VOmax程度の強度であるともいわれています。
また、このLTは、最大酸素摂取量よりもコンディションに左右されにくい。LTは、最大酸素摂取量と比べ、トレーニングによって向上する余地が大きいため、しっかりトレーニングを行うことによりLTの向上は期待できます。
しかし、これ一般人としてはLTでも十分な強度になるのですが、上を目指す競技選手にとって、LTのペースはいいのかというと、そうでもないという話もあります。上にあげた50~70%2VOmaxは一般人という話であり、競技選手では最低でも85%2VOmax程度ともいわれています。
ましてや、トラックにおいては100%2VOmaxとかざら。そうすると、完全にLTは超えてしまう。(一応、誤解のないように言っておきますが、LTと最大酸素摂取量の関係はあくまでも相関関係の範囲内です)
さて、ここでLTを超えた先に、もう1点さらに血中乳酸濃度が急激に高くなる点があります。その点をOBLA(血中乳酸蓄積開始点)といいます。もちろん、LTを超えた点なので、速筋は動員されています。
そして、LTは1mol~3molとか乳酸が蓄積し始める点など現在の研究では定義が残念ながらまだあいまいとなっている一方、OBLAのほうは定義が定まっており、4mol地点であるとされています。(ちなみに有名なジャック・ダニエルズの本での閾値もおそらく、OBLAを指していると思われ)
つまり、トラックをメインにしている人や、さらに上を目指す人は、速筋がしっかり動員されるOBLAを意識したほうが良いともいえます。
感覚的な話で言うと、LTは少し呼吸が乱れるけど、我慢すれば鼻で余裕を持って呼吸出来るくらい。
OBLAは我慢しても口での呼吸を必要とするけど、特にペースダウンはしないくらいです。
次回は、なぜ速筋を使った練習をしたほうが良いのかを説明していきたいと思います。
また、母数が少ないので、一般化にはされないのですが、OBLAのペースについて研究されたものがあるので、参考程度にのせておきます。
5000mのベストタイムをもとに考えたものです。
こんな感じです。
5000m÷ベストタイム=○m/min=100%のスピード
92.5%速度○m ×0.925≒●m/min
60秒÷●m/min×1000=の結果がOBLAのタイム
たとえば16分がベストの人の場合
5000m÷16分=312.5m/min=100%のスピード
92.5%速度312.5m ×0.925≒289m/min
つまり1km3分28秒がOBLAの出現する速度
だいだい5000mのレースペース+15~20秒くらいです。
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やぎ
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陸上歴10年目のものがこれまでの経験、知識に加えて学会などの情報をまとめたものを陸上理論としてメモしておくブログです。
この世には常識とされていたものは非常識、また非常識とされていたものは常識となっています。それも含めいろいろ考察していくつもり
陸上生活に関する日記はリンクにあります。
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