さて、今回はウォーミングアップについて考えてみましょう。
ウォーミングアップの一つとしてよく用いられているストレッチがありますが、今回は取り上げません。ストレッチについてはまた別の一つのトピックとして取り上げる予定です。
では、今回はどの観点からみるのかというと、エネルギーの観点からみてみます。
なぜエネルギーなのかといえば、これまでの話の中にヒントが色々出ているので、勘の鋭い方はすぐ分かるかもしれません。
さて、ウォーミングアップの重要性というのはよく言われています。陸上に限らず、他のスポーツや、もっと身近なとこでは学校の授業、体育とかでよく言われているでしょう。
まず、ウォーミングアップの目的とは何でしょう。
1つは、血液循環を高め、心拍数を上げること、次に筋肉を暖めて筋肉が効率よく働くことでしょう。もちろん、季節や選手の能力によって内容は異なりますが、大まかにいってこの目的でやっていると思います。
さて、ここで考えてほしいのは、こうしたウォーミングアップにおいて走る行為は貯蔵しているエネルギーを減少させてしまうということです。
こうしたことから、30kmやマラソンを走る方にとっては気を付けておいたほうがよい。なぜなら、以前の記事で述べたかと思いますが、エネルギーを上手く使って走らないと、エネルギー切れでペースを保てなくなってしまう。そのため、いかにエネルギーを節約して走るかが大事です。そのため、ウォーミングアップをせずにエネルギーを蓄えるという選択肢もありなのです。
初心者においてあまりウォーミングアップをせず最初の5kmはウォーミングアップのつもりで走りましょうという話や書籍も見受けられるのもこういう理由でしょう。
また、初心者だけではなく、エネルギー貯蔵量を考えると、いかにトレーニングを積んでいる競技者の場合でも、ウォーミングアップをやりすぎないということが重要。
さらに、競技場などで、海外選手はマラソンの前に走るといったウォーミングアップをあまりやらないというのもこういった理由も1つだと考えられます。
とはいえ、さすがに何もしないでいきなり走ることは体調の把握や膝のいたみなどを確認できないので行うべきではないでしょう。
そのため、本番の前には体操、walkやjogで15~20分くらいやっておくとちょうどよい。なお、この15~20分程度という時間は筋肉が温まるのに十分な時間とされている。これ以上やるというのはエネルギーを減少させてしまうことになる。
たまに練習のウォーミングアップと試合用のウォーミングアップとは異なる人や、練習時よりも試合では多めにウォーミングアップをする人もいますが、そうした方は実際にはやりすぎている場合が多い。
もし、マラソンにおいて前半は快調にいけるんだけども、後半失速してしまうという方は、オーバーペースという可能性もありますが、こうしたウォーミングアップにおける観点からも見直してみてはいかがでしょうか。
一方で、800m~5kmのような短い距離であれば、エネルギーを減少させてしまうことによるデメリットはマラソンより低いです。また、マラソンのようないわゆるゆっくりなペースで推移することはないため、速いペースで走れるようにやることはいろいろあるかもしれませんが、それでもやりすぎには気を付けたほうがよいと思います。
個人的には、先ほど述べたマラソンのウォーミングアップと同じで、それに流しを入れるくらいで十分だと思いますが。
「リディーアードのランニング・バイブル」に、ウォーミングアップに関して面白い話があったので引用します。
『1957年、フィンランドのサルソラが1500mの世界記録(3分40秒2)を樹立したとき、彼はいつも45分から50分かけてアップをしていたのだが、その日はちょっと違っていた。というのはレース前、彼は競技場近くのホテルで休んでいたのだが、彼を呼びに来るはずの人がそれを忘れてしまったのである。
スタート7分前、選手がフィールドに招集されたとき、ようやく関係者はサルソラがまだ来ていないことに気付き、大あわてで彼を呼びに行ったのだ。それで、サルソラは気が狂ったようにあわてふためいてトラックに駆けつけたが、彼にはいつもと同じようなウォーミングアップをする時間はない。幸い、それまでベッドに横になっていたから体は十分温まっていたので、彼は2、3回ウインドスプリントをしただけでスタートに付いたのである。
そして彼は世界記録で優勝したのである。
レース後、彼は「もし、いつも通りのウォーミングアップができていたら、いったいどんなにすごい記録になったことか」ともらしていた。しかし、その後、彼は、それまでのように長々とウォーミングアップしていたにもかかわらず、二度とあのように速く走ることはなかったのである。』
これからの季節はマラソンシーズンにもなってくるので、もし昨年度などでいつもマラソンで失速するという方やそれ以外の競技、トラック競技においても同様に、ウォーミングアップにおいて心当たりがあったら見直してみてはいかがでしょうか。
ウォーミングアップの一つとしてよく用いられているストレッチがありますが、今回は取り上げません。ストレッチについてはまた別の一つのトピックとして取り上げる予定です。
では、今回はどの観点からみるのかというと、エネルギーの観点からみてみます。
なぜエネルギーなのかといえば、これまでの話の中にヒントが色々出ているので、勘の鋭い方はすぐ分かるかもしれません。
さて、ウォーミングアップの重要性というのはよく言われています。陸上に限らず、他のスポーツや、もっと身近なとこでは学校の授業、体育とかでよく言われているでしょう。
まず、ウォーミングアップの目的とは何でしょう。
1つは、血液循環を高め、心拍数を上げること、次に筋肉を暖めて筋肉が効率よく働くことでしょう。もちろん、季節や選手の能力によって内容は異なりますが、大まかにいってこの目的でやっていると思います。
さて、ここで考えてほしいのは、こうしたウォーミングアップにおいて走る行為は貯蔵しているエネルギーを減少させてしまうということです。
こうしたことから、30kmやマラソンを走る方にとっては気を付けておいたほうがよい。なぜなら、以前の記事で述べたかと思いますが、エネルギーを上手く使って走らないと、エネルギー切れでペースを保てなくなってしまう。そのため、いかにエネルギーを節約して走るかが大事です。そのため、ウォーミングアップをせずにエネルギーを蓄えるという選択肢もありなのです。
初心者においてあまりウォーミングアップをせず最初の5kmはウォーミングアップのつもりで走りましょうという話や書籍も見受けられるのもこういう理由でしょう。
また、初心者だけではなく、エネルギー貯蔵量を考えると、いかにトレーニングを積んでいる競技者の場合でも、ウォーミングアップをやりすぎないということが重要。
さらに、競技場などで、海外選手はマラソンの前に走るといったウォーミングアップをあまりやらないというのもこういった理由も1つだと考えられます。
とはいえ、さすがに何もしないでいきなり走ることは体調の把握や膝のいたみなどを確認できないので行うべきではないでしょう。
そのため、本番の前には体操、walkやjogで15~20分くらいやっておくとちょうどよい。なお、この15~20分程度という時間は筋肉が温まるのに十分な時間とされている。これ以上やるというのはエネルギーを減少させてしまうことになる。
たまに練習のウォーミングアップと試合用のウォーミングアップとは異なる人や、練習時よりも試合では多めにウォーミングアップをする人もいますが、そうした方は実際にはやりすぎている場合が多い。
もし、マラソンにおいて前半は快調にいけるんだけども、後半失速してしまうという方は、オーバーペースという可能性もありますが、こうしたウォーミングアップにおける観点からも見直してみてはいかがでしょうか。
一方で、800m~5kmのような短い距離であれば、エネルギーを減少させてしまうことによるデメリットはマラソンより低いです。また、マラソンのようないわゆるゆっくりなペースで推移することはないため、速いペースで走れるようにやることはいろいろあるかもしれませんが、それでもやりすぎには気を付けたほうがよいと思います。
個人的には、先ほど述べたマラソンのウォーミングアップと同じで、それに流しを入れるくらいで十分だと思いますが。
「リディーアードのランニング・バイブル」に、ウォーミングアップに関して面白い話があったので引用します。
『1957年、フィンランドのサルソラが1500mの世界記録(3分40秒2)を樹立したとき、彼はいつも45分から50分かけてアップをしていたのだが、その日はちょっと違っていた。というのはレース前、彼は競技場近くのホテルで休んでいたのだが、彼を呼びに来るはずの人がそれを忘れてしまったのである。
スタート7分前、選手がフィールドに招集されたとき、ようやく関係者はサルソラがまだ来ていないことに気付き、大あわてで彼を呼びに行ったのだ。それで、サルソラは気が狂ったようにあわてふためいてトラックに駆けつけたが、彼にはいつもと同じようなウォーミングアップをする時間はない。幸い、それまでベッドに横になっていたから体は十分温まっていたので、彼は2、3回ウインドスプリントをしただけでスタートに付いたのである。
そして彼は世界記録で優勝したのである。
レース後、彼は「もし、いつも通りのウォーミングアップができていたら、いったいどんなにすごい記録になったことか」ともらしていた。しかし、その後、彼は、それまでのように長々とウォーミングアップしていたにもかかわらず、二度とあのように速く走ることはなかったのである。』
これからの季節はマラソンシーズンにもなってくるので、もし昨年度などでいつもマラソンで失速するという方やそれ以外の競技、トラック競技においても同様に、ウォーミングアップにおいて心当たりがあったら見直してみてはいかがでしょうか。
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Re:無題
>800さん
遅くなりまして申し訳ありません。
コメントありがとうございます。
そうですね、ひとつひとつ練習には意味があるので、こうなったらこうなるだろうという仮説も立てながらやっていくと、走れない時の理由もわかってくると思います。
その試行錯誤も醍醐味のひとつだと思うので、これからも普段の練習について考えてやってもらえればと思います。
遅くなりまして申し訳ありません。
コメントありがとうございます。
そうですね、ひとつひとつ練習には意味があるので、こうなったらこうなるだろうという仮説も立てながらやっていくと、走れない時の理由もわかってくると思います。
その試行錯誤も醍醐味のひとつだと思うので、これからも普段の練習について考えてやってもらえればと思います。
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やぎ
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陸上歴10年目のものがこれまでの経験、知識に加えて学会などの情報をまとめたものを陸上理論としてメモしておくブログです。
この世には常識とされていたものは非常識、また非常識とされていたものは常識となっています。それも含めいろいろ考察していくつもり
陸上生活に関する日記はリンクにあります。
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