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さて、今回も心拍数に関する話です。

前回あげた心拍数を用いたトレーニングとして目安とすることができる分類表があったので、それを下に書きました。
下にあげた分類4つはウェルスとペイト(1988)によって研究されたもので、走・泳・自転車などの長距離種目におけるトレーニング法の分類です。

分類1 ディスタンス・トレーニング
運動強度 最大酸素摂取量の65~70%(レースペースより遅い:酸素摂取量が定常状態にある)
運動時間1時間以上  運動頻度週1回  主観的運動強度10~12(かなり楽)
 
分類2 エアロピック・インターバル・トレーニング
運動強度 最大酸素摂取量の70~80%(レースペースよりやや遅い:乳酸性閾値より低い)
血中乳酸濃度4mM以下  運動時間5~15分間  反復回数5~20回
運動頻度週3~4回  主観的運動強度13~15(ややきつい)
 
分類3 ペース・トレーニング
運動強度 最大酸素摂取量の80~95%(レースペースよりやや速い:乳酸性閾値よりやや高い)
血中乳酸濃度8~15mM  運動時間3~10分間
運動頻度週1~2回  主観的運動強度15~17(きつい、かなりきつい)
 
分類4 アネロビック・インターバル・トレーニング
運動強度 最大酸素摂取量の95~120%(乳酸性閾値より明らかに高い)
血中乳酸濃度15~20mM  運動時間30秒~4分間  反復回数5~20回
運動頻度週1回以下  主観的運動強度18~20(かなりきつい、非常にきつい)
 
これは、目的とする運動強度やトレーニング方法は上の分類のようになり

ディスタンス・トレーニングは、長距離を楽なペースで連続して行う方法
エアロピック・インターバルトレーニングは、きわめて短い休息時間を挟んで、レースペースよりもやや遅いペースを反復する方法
ペース・トレーニングは、レースペースよりもやや速いペースを持続できる時間その運動を継続し、比較的長めの休息をおき反復する方法
アネロビック・インターバルは、比較的短い時間の高強度の運動を休息時間最低でも2分間は取り反復する方法です。

つまり、この分類表をみれば、直接的には使わなくとも、主観的運動強度によって、最大酸素摂取量はどのくらいか、血中乳酸濃度はどれくらいなのか考えることができると思われます。

主観的運動強度というのはボルグが開発したもので運動トレーニングの強度を決定するために,心拍数を補足するガイドとして有用的です。6~20の15段階で表わされ,消耗度合いや身体疲労などの感覚に基づいた尺度です。表としては以下のようになります。
 
主観的運動強度

20
19 非常にきつい very very hard
18
17 かなりきつい very hard
16
15 きつい    hard
14
13 ややきつい  somewhat hard
12
11 楽である   fairly light
10
9 かなり楽である very light
8
7 非常に楽である very very light
 
この主観的運動強度の利点としては、なんらかの測定が難しい状況のときに、自分の感覚のみなのですぐわかることですね。そして、その感覚とウェルスとペイトの分類表と照らし合わせてみるとした方法も有効的だと考えられます。
ただ、四季によって気温、湿度などの気候コンディションによって実際の生理的反応と心理的反応との相違が起こりうることもあることには気を付けてください。
どっちにしろ注意したいことは心拍数を考えてやるのも、主観的運動強度を考えてやるのもあくまでも理論上のことであるため、この数字にこだわりすぎず、あくまでも目安として行うようにしてくださいね。つまり、目標値などは設定せず、ただ単純にトレーニング中の心拍数を測定するだけにすることです。
そうすることの利点として、まずトレーニング後にトレーニング時の心拍数や運動強度を記録しておく。そのときのペースなどや、主観的運動強度がどれくらいだったかも記録しておく。そうすることにより、心拍数だけではなく、ペースなど、主観的運動強度の2つの要素を加味した3つの観点からトレーニングの運動強度を考えることができます。さらに体調や気象条件なども合わせて記録しておき、それらをデータとして集積、分析していくことによって、各個人の調子のよいとき、悪いときのパターンが見えてくることがあると思います。
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今回は現在、トレーニングにおいてトレーニング強度を知るためにメジャーな指標である心拍数について取り上げます。この指標は呼吸や脈拍に関するものであることから、自覚しやすく測定も簡単なもののため、よく用いられています。
身体能力のそれぞれのところでもとりあげましたが、ここではより詳しくやっていこうと思います。
分量が多いので、いくつかに分けてやっていきます。
 
まず、運動をすると筋肉や末梢組織の酸素需要が高まるため、酸素が肺を通り血液に取り込まれるときに、心臓のポンプ作用によって全身の血管内を血液が循環します。そして、組織や器官の活動に必要な酸素やエネルギー源が供給され、また二酸化炭素や不要な代謝物が肺や腎臓に運び込まれます。
ではここで、なぜ、酸素需要が高まり、心臓のポンプ作用が起こるのでしょうか。
それは、エネルギー生成のところでお話しした糖質や脂質から酸素を使ってATP、つまり身体を動かすエネルギーを作り出すためなのです。また運動するということは、全身の、多くの筋肉を使うということでもあります。もちろん、筋肉だけではなく、それ以外での組織でも酸素は使われています。
そのようにして身体の中で糖質や脂質のようなエネルギーが使われるのですが、それをエネルギー消費量といいます。しかし、身体の中でで糖質や脂質がどれだけ減ったかなんてすぐにはわかるはずもありません。そこで、エネルギーを消費する際には酸素を用いることから、酸素摂取量を求めることによりどれだけエネルギーを消費したかわかるようになります。
 
また、エネルギー消費量は体重の影響を大きく受けます。
体重が多いとそれだけ運動するのに多くのエネルギーが必要です。よく体重減らすと、速くなれるよという話が出てくるのもこのためです。つまり、体重が少ないほどエネルギーを節約することができます。しかし、体重を減らしすぎると身体の調子を整えるための機能を損なってしまうので、あくまでも過剰であろう部分の体重を減らすだけに努めた方が賢明です。

さてそこで、体重のことを考慮した指標として、酸素摂取量の最大値である最大酸素摂取量があげられています。
最大酸素摂取量とは簡単に言えば、体内に取り込むことができる酸素の最大値のことです。
もちろん、体重が多いほど多くのエネルギーを必要とし、体重が低いほど少ないエネルギーですむ。また同じ体重でも最大酸素摂取量も異なります。
そこで、その人がその運動を行った時にどのくらいの強度か表すために用いられる方法として、そのときの酸素摂取量が最大酸素摂取量のどのくらいの割合かというものがあります。この割合を%VO2maxといいます。
そして最大酸素摂取量よりも低い運動強度では、酸素摂取量と運動強度は比例します。たとえば、速度が2倍になれば、酸素摂取量も2倍になります。そこで、その時の酸素摂取量の最大酸素摂取量に対する割合は、体重やその人の最大酸素摂取量の大小に関係なく、強度を示す数値となります。たとえば、1500~5000mは100%VO2maxとなり、距離が長くなるほど、その値は低くなります。
 
さて、酸素は肺を通って血液へと運ばれます。肺を通りぬける血液量は、心臓が送り出す血液量です。心臓の左心室から送り出される血液は、肺に向かい、右心室から送り出される血液は肺に向かう。そして心臓の送り出す血液量のことを心拍出量といい、これは1回の送り出す量とその回数で決まる。
 
心拍出量=1回拍出量×1分間当たりの心拍数
 
心拍出量は、安静時よりも運動時のほうが多くなるが、その増加はわずかであり、強度が上がるほどにその1回拍出量は増加しなくなります。そのため、心拍出量は心拍数の影響を大きく受けます。
このことから、酸素選手量は心拍出量によって大きく決まるが、その中でも心拍数が大きく影響を占めることになります。しかし、実際には肺における酸素取り込み効率も変わりますし、心拍数だけで酸素摂取量が決まるのではないことに注意してください。
 
運動強度と心拍数の関係として、大きくみるとほぼ直線関係にあります。そのため、心拍数から運動強度を知ることができます。ここでの運動強度とは、そのときの酸素摂取量の最大酸素摂取量に対する割合のことです。
ただし、まったくの比例関係ではなく、安静から最大心拍数までの範囲ですのでそれを考慮する必要があります。
安静時では10%VO2maxくらいの酸素摂取量、最大心拍数のときが最大酸素摂取量すなわち、100%VO2maxとなり、その間の関係ですから、安静時の酸素摂取量を10%VO2maxとすると、10%から100%まで酸素摂取量が増える間に心拍数が安静心拍数から最大心拍数まで増えるということで求めることができます。
 
ある運動時の運動強度(最大酸素摂取量に対する割合(%))は、心拍数を用いて、以下の計算式で推定できることができます。

運動を行ったときの運動強度(%VO2max)=
((その時の心拍数-安静時心拍数)/(最大心拍数)-(安静時心拍数))×90+10

・最高心拍数=220-年齢
・安静時心拍数=起床してすぐの心拍数

たとえば、ある選手の最高心拍数が200拍/分、安静時心拍数は50拍/分であるとき、
運動を行ったその時の心拍数が140だった場合の運動強度(%VO2max)は、

(140-50)/(200)-(50))×90+10=64%VO2maxと算出できます。

すなわち、心拍数が140だったときの運動強度は64%V2maxとなるわけです。
しかし、最高心拍数の式は個人差に影響を受けるので、プラスマイナス10の変動はあることが考えられています。
そのため、こうした運動強度を算出するときには注意してください。
今日は前回の補足します

部活の後輩にも公開してるのですが、前回の話がいくらか誤解されているようでした。
ここ、一般公開しており、他にここ見ている方で誤解されている可能性もあることからその辺について補足します。

どのような誤解かというと
つなぎのジョグなどで10㎞を6分ペースで走るのは意味ないか
トップレベルのジョグも速いのだから、うちらもジョグ速くしたほうがよいのではないか

といったようなことでした。
答えは、一言でいうと、目的によるです。まず、意味ないかどうかというと、前回でも述べましたが
人によって前提となるベースが異なることから、そのペースに対する余裕度も異なるため、一概には言えない。
ペースに関しては、疲労抜きとしてやるのか、能力向上を目的としてやるのかによっても変わる。
たとえば、スピードプレイ的にやるか、LT走、LSD、アクティブレストなどがあげられるでしょう。
(このプログラムについては論点が変わってくるので後日に説明、知りたい方はググってください、合っているかは知らんが)
また、その日の体調によっても余裕度が変わるでしょう。
たとえばですが極端な話、10㎞6分ペースで走るとき、ベストタイムで10㎞を50分で走る人と10㎞を30分で走る人、どちらかが余裕があるでしょう。もちろん、10㎞を30分で走る人ですよね。一方50分で走る人には、負担が大きいものとなるでしょう。

話聞くと、そうした誤解は、部活における練習の中にときどき組み込まれていることからきました。
やはり、集団でやることによる難しさでしょうね。個人でやるのであれば、いろいろと調整してできるでしょう。
しかし、集団でやることから何らかの方法でそこに意味をもたらせ、より効果を上げる必要があるため、どうしたらよいかそこを考えなければならないことになります。

ひとつの考え方ですが、ある程度のレベルまで行くとジョグは負荷が低くなり、本練としての意味をなさなくなるんですね。走り始めの時期は、ある程度の負荷があるのですが、そこまでいくと時間を長くするか、ペースを速めるなどしないと、能力は向上しなくなる。つまり、単なる60分ジョグでは意味なさなくなる。
もし疲労抜きとしてやるのであれば、20分や30分で終わらせたり、その分他の日で長めにやるというようにメリハリをつけることが重要だと考えられます。
高校であれば、顧問の先生の力によって練習プログラムが決められることから難しいかもしれませんが
大学だと、TVに出るような大学を除いた大学の多くは自分たちで考えて行うことができます。
集団でやるもの、つまりポイントとして部活の日が設定されることはありますが、それ以外のことは個人でやることもあり、自由性が高いはずです。
その時、その負荷が自分にとって軽いか重いか
もし軽ければ、その本練の前、あるいはその後に+αでやるといったことが必要です。なぜならば、漸進性の原理からも身体に負荷をかけ続けていかないと、能力は向上しなくなります。

以上のことから、部活においてその練習が10㎞を6分ペースでジョグがその人にとって負荷が低いものであったならば、+αしたり、軽めにするなど自分で考えて負荷を高めたり、意味を作り出す、すなわち質を高めていく必要があるでしょう。
そこを考えていくようにすることができれば、様々な面でも強くなることができるはずです。
プロフィール
HN:
やぎ
性別:
非公開
自己紹介:
陸上歴10年目のものがこれまでの経験、知識に加えて学会などの情報をまとめたものを陸上理論としてメモしておくブログです。
この世には常識とされていたものは非常識、また非常識とされていたものは常識となっています。それも含めいろいろ考察していくつもり

陸上生活に関する日記はリンクにあります。
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